政府が推進しているひとり親家庭(母子家庭、父子家庭)への支援まとめ【厚生労働省令和4年4月】
政府はひとり親家庭など、経済的な負担が大きい家庭に対して、たくさんの支援制度を用意しています。
子育て・生活、就業など、親子がともに豊かに生きていくために必要な支援が年々、増加してきたり、内容が改正されてきています。
最新の情報を収集して、必要な制度はすべて使い、少しでも経済的な負担を減らすためにお役立ていただけますと幸いです。
それでは、厚生労働省の資料をもとに体系的に支援制度について解説していきます。
<目次>
ひとり親家庭等の自立支援策の体系ひとり親家庭等の自立支援策の柱①ひとり親家庭等への子育て・生活支援策1.母子・父子自立支援員による相談・支援2.ひとり親家庭等日常生活支援事業3.ひとり親家庭等生活向上事業4.母子生活支援施設5.子育て短期支援事業6.ひとり親家庭住宅支援資金貸付7.ひとり親家庭等の子どもの食事等支援事業ひとり親家庭等の自立支援策の柱②ひとり親家庭等への就業支援策1.ハローワークによる支援(マザーズハローワーク事業)2.母子家庭等就業・自立支援センター事業3.母子・父子自立支援プログラム策定事業4.自立支援教育訓練給付金5.高等職業訓練促進給付金6.高等職業訓練促進資金貸付事業7.ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業ひとり親家庭等の自立支援策の柱③ひとり親家庭等への養育費の確保策1.養育費等支援事業令和3年の母子世帯・父子世帯の養育費の受給状況養育費の立替・補償サービスも場合によっては使おう民間会社が養育費保証サービスも提供している!自治体によっては保証料をサポートしてくれる2.面会交流支援事業3.離婚前後親支援モデル事業4.養育費等相談支援センター事業ひとり親家庭等の自立支援策の柱④ひとり親家庭等への経済的支援策おわりに
こちらよりご覧ください↓
ひとり親家庭等の自立支援策の体系
厚生労働省は、ひとり親家庭等に対する支援として、「子育て・生活支援策」、「就業支援策」、「養育費の確保策」、「経済的支援策」の4本柱によりいろんな支援制度・取り組みを行っています。
それぞれについて、厚生労働省の資料を一部抜粋しつつ、説明していきます。
ひとり親家庭等の自立支援策の柱①ひとり親家庭等への子育て・生活支援策
子育て・生活支援の事業は以下の通りです。
- 母子・父子自立支援員による相談・支援
- ひとり親家庭等日常生活支援事業
- ひとり親家庭等生活向上事業
- ひとり親家庭等生活支援事業
- 相談支援事業
- 家計管理・生活支援講習会等等事業
- 学習支援事業
- 情報交換事業
- 短期施設利用相談事業
- 子どもの生活・学習支援事業
- 母子生活支援施設
- 子育て短期支援事業
- ひとり親家庭住宅支援資金貸付
- ひとり親家庭等の子どもの食事等支援事業
1.母子・父子自立支援員による相談・支援
支援内容は、ひとり親家庭及び寡婦に対し、生活一般についての相談指導や母子父子寡婦福祉資金に関する相談・指導を行うこと。
支援実績は以下の通りです。
・勤務場所: 原則、福祉事務所
・配置状況: 1,781人(常勤513人、非常勤1,268人)
・相談件数: 692,055件
都道府県知事、市長(特別区の区長を含む。)及び福祉事務所設置町村長が、社会的信望があり、かつ、その職務を行うに必要な熱意と識見を持っている者のうちから母子・父子自立支援員を配置しているようです。
また、ひとり親家庭向けの相談窓口をワンストップ化する取組みをしているようです。
2.ひとり親家庭等日常生活支援事業
ひとり親家庭等日常生活支援事業とは、母子家庭・父子家庭のひとり親の方が、安心して子育てをしながら生活できる環境を整備するため、修学や疾病などにより生活援助、保育等のサービスが必要となった際に、家庭生活支援員を派遣し、又は家庭生活支援員の居宅等において子どもの世話などを行うことにより、ひとり親家庭等の生活の安定を図るための事業。
ここでいう、「生活援助」とは、家事、介護その他の日常生活の便宜(例えば、食事や身の回りの世話、住居の掃除、生活必需品等の買い物)を行うこと。
「保育等のサービス」とは、乳幼児の保育、子どもの生活指導などを行うこと。
ひとり親家庭等日常生活支援を一時的にか、定期的に受けられるかは条件が異なります。
一時的に支援を受けられるのは以下の場合です。
- 技能習得のための通学、就職活動等の自立促進に必要な事由
- 疾病、出産、看護、事故、冠婚葬祭、残業、出張、学校等の公的行事の参加等の社会通念上必要と認められる事由
定期的に支援を受けられるのは以下の場合です。
- 就業上の理由により帰宅時間が遅くなる場合等(乳幼児又は小学校に就学する児童を養育しているひとり親家庭に限る。)
支援が受けられる場所は、生活援助の場合はひとり親家庭の居宅で、保育等のサービスは家庭生活支援員の居宅又は児童館、母子生活支援施設等のひとり親家庭等が利用しやすい適切な場所などです。
3.ひとり親家庭等生活向上事業
ひとり親家庭等生活向上事業は、ひとり親だと、就業や家事など日々の生活に追われ、家計管理、子どものしつけ・育児または自身や子どもの健康管理など様々な面において困難に直面することがあります。また、ひとり親家庭の親の中には高等学校を卒業していないことから希望する就業ができないことや安定した就業が難しいなどの支障が生じているため、生活に関する悩み相談、家計管理・育児等に関する専門家による講習会の実施、高等学校卒業程度認定試験合格のための学習支援等を実施することにより、ひとり親家庭等の生活の向上を図るために設けられた事業のようです。
ひとり親家庭等生活支援事業には5つの取り組みがあります。
①相談支援事業
育児や家事、健康管理などの生活全般の相談に対応し、必要な助言・指導や各種支援策の情報提供等を実施しています。
また、地域の実情に応じて、地域の民間団体の活用等による訪問・出張相談、同行支援や継続的な見守り支援を実施しています。
②家計管理・生活支援講習会等事業
家計管理、子どものしつけ・育児や養育費の取得手続等に関する講習会の開催等を実施しています。
よく役所に設置されているチラシの中に、講習会の案内チラシがあるので、待ち時間の時などにちらっと見てみてください。
③学習支援事業
高等学校卒業程度認定試験の合格等のためにひとり親家庭の親に対して学習支援を実施しています。
筆者自身も、大学生の頃、行政からの委託でひとり親家庭のお子さんに無料学習支援をしていました。勉強だけでなく、雑談のなかで進学の相談に発展するなど、有意義な場所です。
④情報交換事業
ひとり親家庭が互いの悩みを打ち明けたり相談しあう場を設け、ひとり親家庭の交流や情報交換を実施しています。
お住まいの自治体から、ひとり親家庭の方が集まって話せる場の案内のチラシが届いたことがありますでしょうか?
ひとり親の方の中には、仕事・家事・育児などの両立で時間を合わせることができず、なかなかこのような場にいけない声をよく聴きます。
そのため、私たち一般社団法人ペアチルは、ひとり親の方(過去含む)限定のトークアプリ「ペアチル」を無償で提供しております。
自分と似た境遇のひとり親の方同士が出会え、世間話・趣味の話・子育てやお金の相談や情報交換などを気軽にできるアプリです。ぜひ、登録して、気ままに似た境遇のひとり親の方とトークしてみてください。登録は公式サイトからできます。
⑤短期施設利用相談支援事業
短期施設利用相談支援事業は、母子生活支援施設を活用し、短期間の施設利用による子育てや生活一般等に関する相談や助言の実施、ひとり親家庭の状況に応じた各種支援の情報提供、必要に応じて施設入所に関する福祉事務所等関係機関との連絡・調整を行っています。
4.母子生活支援施設
母子生活支援施設は、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設です。(児童福祉法第38条)
児童(18歳未満)及びその保護者(配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子)が対象ですが、児童が満20歳に達するまで引き続き在所させることができます。
母子生活支援施設においては、母子を保護するとともに、その自立を促進するため個々の母子の家庭生活及び稼動の状況に応じ、就労、家庭生活及び児童の教育に関する相談及び助言を行う等の支援を行っています。各母子世帯の居室のほかに集会・学習室等があり、母子支援員、少年指導員等の職員が配置されています。
筆者も東京都にある母子生活支援施設を訪問させていただいたことがありますが、お母さんとお子さんの身を守るために住所が非公開になっていました。母子生活支援施設にもよりますが、いわゆる普通のアパートのようなところもあります。
必要な方は、「福祉事務所 お住まいの市区町村名」でGoogleやYahoo!で検索し、表示される自治体のページから問い合わせてみるのが良いと思います。
5.子育て短期支援事業
子育て短期支援事業は、保護者の疾病その他の理由により家庭において子どもを養育することが一時的に困難となった場合等に、児童養護施設等において一定期間、養育・保護を行うことにより、これらの子ども及びその家庭の福祉の向上を図るための事業です。
子育て短期支援事業は2つの事業があります。
①短期入所生活援助(ショートステイ)事業
保護者の疾病や仕事等の事由により子どもの養育が一時的に困難となった場合、又は育児不安や育児疲れ、慢性疾患児の看病疲れ等の身体的・精神的負担の軽減が必要な場合に、児童養護施設等で一定期間(原則7日以内:必要に応じて延長可)子どもを預かる事業。
【対象者】次の事由に該当する家庭の子ども又は母子等
○ 子どもの保護者の疾病
○ 育児不安、育児疲れなど身体上又は精神上の事由
○ 出産、看護、事故など家庭養育上の事由
○ 冠婚葬祭、出張や公的行事への参加など社会的な事由
○ 経済的問題等により緊急一時的に母子保護が必要な場合
②夜間養護等(トワイライトステイ)事業
保護者が仕事その他の理由により平日の夜間又は休日に不在となることで家庭において子どもを養育することが困難となった場合その他緊急の場合において、その子どもを児童養護施設等において保護し、生活指導、食事の提供等を行う事業。
【対象者】
○ 保護者の仕事等の理由により、平日の夜間又は休日に不在
となる家庭の子ども
6.ひとり親家庭住宅支援資金貸付
ひとり親家庭住宅支援資金貸付は、母子・父子自立支援プログラムの策定を受け、自立に向けて意欲的に取り組んでいる児童扶養手当受給者に対し、自立の促進する為に住宅の借り上げに必要となる資金を貸付する事業です。
児童扶養手当受給者(同等の水準の者を含む)であって、母子・父子自立支援プログラムの策定を受け、自立に向けて意欲的に取り組んでいる方が対象です。
貸付額などは以下の通りです。
貸 付 額:原則12か月に限り、入居している住宅の家賃の実費(上限4万円)を貸付
償還期限:都道府県知事等が定める期間
利 息:無利子
1年以内に就職をし、就労を1年間継続したとき、死亡又は障害により償還することができなくなったときは、償還が免除になります。
7.ひとり親家庭等の子どもの食事等支援事業
ひとり親家庭等の子どもの食事等支援事業は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等により困窮するひとり親家庭を始めとした要支援世帯の子ども等を対象とした子ども食堂、子ども宅食、フードパントリー等を実施する事業者を対象として広域的に運営支援、物資支援等を行う民間団体(「中間支援法人」)を公募し、その取組に要する経費を助成することにより、子どもの貧困や孤独・孤立への緊急的な支援を行っています。
ひとり親家庭等の自立支援策の柱②ひとり親家庭等への就業支援策
就業支援の事業は以下の通りです。
- ハローワークによる支援
- マザーズハローワーク事業
- 生活保護受給者等就労自立促進事業
- 職業訓練の実施
- 求職者支援事業
- 母子家庭等就業・自立支援センター事業
- 母子・父子自立支援プログラム策定事業
- 自立支援教育訓練給付金
- 高等職業訓練促進給付金
- ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業
- 高等学校卒業程度認定試験合格支援事業
1.ハローワークによる支援(マザーズハローワーク事業)
マザーズハローワーク事業は、新型コロナウイルス感染症により離職を余儀なくされた子育て中の女性等に対する就職支援を強化するため、ハローワークの専門支援窓口(マザーズコーナー)を拡充するとともに、専門相談員によるアウトリーチ型の支援を強化された事業です。あわせて、各種就職支援サービスのオンライン・デジタル化を推進し、マザーズハローワークのサービスの向上を図っているようです。
2.母子家庭等就業・自立支援センター事業
母子家庭等就業・自立支援センター事業は、母子家庭の母及び父子家庭の父等に対し、就業相談から就業支援講習会、就業情報の提供等までの一貫した就業支援サービスや養育費の取り決めなどに関する専門相談など生活支援サービスを提供する事業です。
3.母子・父子自立支援プログラム策定事業
福祉事務所等に自立支援プログラム策定員を配置し、児童扶養手当受給者等に対し、①個別に面接を実施し、②本人の生活状況、就業への意欲、資格取得への取組等について状況把握を行い、③個々のケースに応じた支援メニューを組み合わせた自立支援プログラムを策定し、④プログラムに沿った支援状況をフォローするとともに、⑤プログラム策定により自立した後も、生活状況や再支援の必要性を確認するためアフターケアを実施し、自立した状況を継続できるよう支援を行っています。
また、母子・父子自立支援プログラムと連携して就労支援を行うため、ハローワークに就職支援ナビゲーターを配置し、ハローワークと福祉事務所等とが連携して個々の児童扶養手当受給者等の状況、ニーズ等に応じたきめ細かな就労支援を行う生活保護受給者等就労自立促進事業を実施しています。
プログラム実行中、生活費の支援もしてくれるようです。
4.自立支援教育訓練給付金
自立支援教育訓練給付金は、母子家庭の母及び父子家庭の父が教育訓練講座を受講し、修了した場合にその経費の一部を支給することにより、主体的な能力開発の取組を支援し、母子家庭及び父子家庭の自立の促進を図ることを目的とされた制度です。
次のいずれにも該当する母子家庭の母または父子家庭の父に支給されます。
① 児童扶養手当の支給を受けているか又は同等の所得水準にあること
② 就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場などから判断して当該教育訓練が適職に就くため必要と認められること
対象となる講座によって、支給される金額が変わります。
5.高等職業訓練促進給付金
母子家庭の母又は父子家庭の父の就職を容易にするために必要な資格の取得を促進するため、当該資格に係る養成訓練の受講期間について給付金を支給することにより、生活の負担の軽減を図り、資格取得を容易にすることを目的としてつくられた制度。
養成機関において修業を開始した日以降において、次のいずれにも該当する母子家庭の母又は父子家庭の父に支給されます。
① 児童扶養手当の支給を受けているか又は同等の所得水準にあること
② 養成機関において6月以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれる者であること
対象の資格は、就職の際に有利となる資格であって、養成機関において6月以上(※)修業するものについて、地域の実情に応じて定められています。
《対象資格の例》看護師、准看護師、保育士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、調理師、製菓衛生師、シスコシステムズ認定
資格、LPI認定資格 等
支給の対象期間と支給額は以下の通りです。
【支給対象期間】修業する期間(上限4年)
【支給額】月額10万円(住民税課税世帯は月額70,500円)
修学の最終年限1年間に限り支給額を4万円加算する。
令和元年度の資格取得状況はこちら。
似た制度で、「求職者支援制度」もあります。
教育訓練給付のそれぞれの概要はこちら。
6.高等職業訓練促進資金貸付事業
高等職業訓練促進給付金を活用して養成機関に在学し、就職に有利な資格の取得を目指すひとり親家庭の親に対し入学準備金・就職準備金を貸し付け、これらの者の修学を容易にすることにより、資格取得を促進し、自立の促進を図ることを目的としてつくられた制度。
貸付を受けた者が、養成機関の修了から1年以内に資格を活かして就職し、貸付を受けた都道府県又は指定都市の区域内等において、5年間引き続きその職に従事したときは、貸付金の返還を免除されます。
入学準備金と就職準備金の2つがあります。
○ 養成機関への入学時に、入学準備金として50万円を貸付
○ 養成機関を修了し、かつ、資格を取得した場合に、就職準備金として20万円を貸付
※ 無利子(保証人がいない場合は有利子)
7.ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業
ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業では、ひとり親家庭の学び直しを支援することで、より良い条件での就職や転職に向けた可能性を広げ、正規雇用を中心とした就業につなげていくため、高等学校卒業程度認定試験合格のための講座を受講する場合に、その費用の一部を支給しています。
ひとり親家庭の親又は児童であって、次の要件の全てを満たす者。ただし、高校卒業者など大学入学資格を取得している者は対象としていません。
① ひとり親家庭の親が児童扶養手当の支給を受けている又は同等の所得水準にあること。
② 就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場などから判断して高等学校卒業程度認定試験に合格することが適職に就くため必要と認められること
支給内容はこちら。
①受講開始時給付金:受講費用の3割(上限7万5千円)
※令和4年度より創設
②受講修了時給付金:受講費用の1割(①と合わせて上限10万円)
③合格時給付金:受講費用の2割(①②と合わせて上限15万円)
※③は受講修了日から起算して2年以内に高卒認定試験に全科目合格した場合に
支給
ひとり親家庭等の自立支援策の柱③ひとり親家庭等への養育費の確保策
養育費については、養育費等相談支援センターや地方自治体における養育費に関する相談支援を充実・強化するとともに、離婚前後親支援モデル事業を拡充し、離婚前からの親支援の充実や養育費の確保に係る支援施策の推進に取り組んでいます。
主に4つの事業があります。
- 養育費等支援事業(「母子家庭等就業・自立支援事業」のメニュー事業の一つ)
- 面会交流支援事業(「母子家庭等就業・自立支援事業」のメニュー事業の一つ)
- 離婚前後親支援モデル事業(令和元年度~)
- 養育費等相談支援センター事業
1.養育費等支援事業
母子家庭の母等の養育費の確保のため、身近な地域での養育費の取り決めなどに関する専門知識を有する相談員等による相談対応や、継続的な生活支援を必要としている家庭への支援を総合的に行うことにより、母子家庭等の生活の安定と児童の福祉の増進を図ることを目的とされた事業。
■事業内容
○ 養育費に関する専門知識を有する相談員を配置し、①養育費取得のための取り決めや支払いの履行・強制執行の手続に関する相談や、②リーフレット等による情報提供、③養育費の取り決め等のために家庭裁判所等へ訪れる際の同行支援、④講演会の開催等を実施する。
○ 弁護士による離婚前・離婚後の養育費取得のための取り決めや支払いの履行・強制執行に関する法律相談を実施する。
○ 地域の母子生活支援施設等の相談・支援機能を活用して、そのノウハウを活かした相談等の生活支援を継続的に行う。
■実施体制・実施方法
○ 養育費相談においては、養育費の取り決めを促進する観点から、養育費等相談支援センターや市区町村の相談窓口等の関係機関と連携を図り、積極的に離婚前の者に対して実施する。また、平日夜間・土日祝日や、DV被害者等への配慮など母子家庭の母等の生活実態やニーズ等を踏まえて実施する。
○ 弁護士相談は、養育費のほか、離婚、親権、面会交流、慰謝料や財産分与などの法律問題にも応じる。
○ 生活支援においては、母子家庭の母等の職場や家庭を訪問する巡回相談などの継続的な生活支援を行うとともに、地域の母子・父子自立支援員や相談関係者と密接な連携を図る。
令和3年の母子世帯・父子世帯の養育費の受給状況
令和3年に厚生労働省から最新のひとり親世帯についての調査結果が公開されました。
その中に、養育費を受け取れているかどうかの調査もあるため、ご紹介します。
まずは母子世帯の養育費の受給状況についてです。
現在、養育費を受けとれていない母子世帯は71.9%(不詳含む)で、約108万世帯中78万世帯が養育費を受けとれていません。
続いて、父子世帯についてみていきましょう。
現在、養育費を受けとれていない父子世帯は91.3%(不詳含む)で、約11万世帯中10万世帯が養育費を受けとれていません。
筆者は母子家庭に育ち、養育費で毎月1,2万円あるかないかで、生活がかなり左右されるのを実感していました。養育費は子どもを育てるために必要な大事なお金です。
ですが、母子世帯の約7割、父子世帯の約9割が養育費を受けとれていない状況なのです。
養育費の立替・補償サービスも場合によっては使おう
金銭的に弁護士を雇えない方であれば、法テラスを利用し、費用を立て替えてもらうなどして、養育費を請求していく必要があります。
民間会社が養育費保証サービスも提供している!自治体によっては保証料をサポートしてくれる
養育費を保証してくれるサービスもあります。
それぞれ、保証内容や審査基準が異なっていたり、サービスを運営している会社もバラバラです。
そのため、ちょっと面倒かもしれませんが、すべてに問い合わせて、自身の状況を伝えて、審査が通りそうか、対応してくださる人が安心できるかなどを確認することをおすすめします。
2.面会交流支援事業
適切な面会交流が子どもの健やかな育ちを確保する上で有意義であることから、面会交流を希望し、合意が得られた低所得のひとり親家庭支援施策の一環として、継続的な面会交流の支援を行っている事業です。
■事業内容
○ 事前相談、支援内容の決定、面会交流援助等を適切に実施できる面会交流支援員を配置
○ 支援の対象
・ 面会交流の取り決めを行っていて、父母間で合意があり、原則として児童扶養手当受給者と同等の所得水準にある、概ね15歳未満の子どもとの面会交流を希望する別居親又は子どもと別居親との面会交流を希望する同居親
○ 別居親又は同居親からの申請により、両者に対し必ず事前相談を実施するとともに、支援の内容、方法、日程、実施頻度等を記載した面会交流支援計画を作成
○ 支援計画に基づき、面会交流当日の子どもの引き取り、相手方への引き渡し、交流の場に付き添うなどの援助を実施
援助の実施頻度は原則として1月に1回まで、支援期間は最長で1年間といった制約もあります。
3.離婚前後親支援モデル事業
離婚協議開始前の父母等に対して、離婚が子どもに与える影響、養育費や面会交流の取り決めや離婚後の生活を考える機会を提供するため、講座の開催やひとり親家庭支援施策に関する情報提供等を行うモデル事業を新たに実施しています。
4.養育費等相談支援センター事業
養育費について相談できる支援センターが、以下のために設置されています。
○夜間・休日を含め利用しやすく、簡易・迅速な養育費の取り決めや確保等をサポートする相談機関の確保を図る。
○国においては、相談担当者の養成と各地の相談機関の業務支援を行う。
ひとり親家庭等の自立支援策の柱④ひとり親家庭等への経済的支援策
厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課令和4年4月「ひとり親家庭等の支援について」で取り上げられている経済的支援策は、主に以下の内容です。
- 児童扶養手当の改正
- 児童扶養手当の所得制限限度額の引き上げ
- 児童扶養手当の受給期間が5年を超える場合等の一部支給停止について
- 児童扶養手当と公的年金等との併給制限の見直し
- 児童扶養手当の支払回数の見直し(年3回から年6回の支払いに変更)
- 児童扶養手当と障害年金の併給調整の見直し
- 母子父子寡婦福祉資金貸付金の拡充
児童扶養手当やひとり親家庭の税金控除(支払う税金が減る制度)については、「母子家庭や父子家庭がもらえる児童扶養手当の支給額や支給時期について解説!」、「ひとり親とは?ひとり親の定義、子どもが何歳まで支援やひとり親控除を受けられるかを解説!」、「ひとり親家庭(母子家庭、父子家庭)が使えるひとり親控除と寡婦・寡夫控除の違いや併用できるかを解説!」をご覧ください。
母子父子寡婦福祉資金貸付金については、順次、記事を制作していきます。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
厚生労働省が取りまとめている資料をもとに、ひとり親家庭(母子家庭、父子家庭)への支援の全体像を説明してきました。
気になった制度があれば、「制度名 お住まいの市区町村名」でGoogleやYahoo!で検索し、表示される自治体のホームページより問い合わせてみてください。
使える制度は使ってなんぼです。少しでも経済的な負担を減らすためにご活用ください。
また、私たち一般社団法人ペアチルは、ひとり親の方(過去含む)限定のトークアプリ「ペアチル」を無償で提供しております。
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ひとり親の方向けのお役立ちコラム2022/12/29 7:342023/1/8 9:04<執筆者>